ダンシング 天の岩戸
かつて光を発し輝いた石が 大きな時の流れに傾いて 思わず柔和な笑みを はるか彼方の淵に送って ここはまだ 笑み交わす人もない 生まれぬ前の始原の世界
遡る砂の粒には 時の流れは まだ逆行でなく 無限でもなく 人為でもなく 頬をはたく春風のように 小躍りし、心地よく、まろびつつも
重く石は固化して 口を閉じ、目を瞑って 永遠に眠り 大地から生えた 角のように 武骨に、ただ一輪の 笑みの肌理を秘かに刻んで
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老骨の向う傷の いかつさを知らず 時が反転した 辛さを知らず、邪気を知らず 砂は水草を寄り集め さざめきあって みずからの当為を 生命の彩りの中に
石のいかつい笑みが 時の止まった石の中に 誰知らぬ息吹を 呼び込むように 立ち尽くした期待を 溶きほぐすかのように レッドファントムのダンシング・・・・・・。
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